ふと思い立って、たったに聞いてみた。
朝起こしながら、ほとんど寝込みを襲う勢いで。
たったは、思考回路がほとんど動いてない状態で、それってつまりは本音で、答えてくれたと想像する。
「たった、お前さぁ、ゆめちゃんのこと、好き?」
「うん・・・」
「なんで?」
「うえだから」
「うえ?年上ってこと?」
「うん」
「じゃぁ、パパはゆめちゃんを特別扱いしてると思う?」
「ううん」
「なんで?」
「んっとねー・・・、パパやぁママとぁ、離れて暮らしてるから」
「つまり、ゆめちゃんは寂しい思いをしてるからってこと?」
「うん」
「お前、やさしいなぁ。じゃぁ、けっとは好き?」
「あんまし・・・」
「あんまし、なに?」
「・・・」
「好きじゃない?」
「だって、いやだっていうことばっかりするんだもん」
「そかー。パパも弟があんまり好きじゃなかったよ。ダメだって言うことばっかりしたからね。仲が悪かったよ。けんかばっかりしてた」
「今は仲いいジャン」
「そりゃそうだ。大人だもん」
「大人は良いの?」
「あのな、大人になればわかるけど、一人より兄弟がいた方が良いんだよ。パパだって、たまにしか会わないけど、あいつら帰ってくると嬉しいよ。家族が増えるからね。もしけっとがいなかったら、ゆめが死んじゃったあとでお前はひとりぼっちだぞ」
「・・・」
「けっとはな、ママが命をかけて産んでくれたんだよ。お前がひとりぼっちにならないために。おまえも、ゆめのことも一生懸命産んでくれたんだけど、けっともそうよ。かけがえないんだぜ。おまえもゆめも、けっともな」
今、昨日までより仲良く遊んでます。
あいつは素直だ。
朝っぱらからの短い会話で、たったの深いところの思いや葛藤が見えた気がした。