午後9時10分前。
既に子供らは寝静まり、仕事中に一時中断して、洗い上がった洗濯物を干していると、電話が鳴った。
「はい」
「こちらは”#$%&'【と申しますが、ご主人様でございますか?今、太陽熱発電の~・・・」
こんな時間にかけてきておいて、こちらの状況を斟酌する一言もなくいきなり本題。
あっけにとられて、しばらく黙って聞いていた。
「・・・~それぞれのおうちの屋根の形状が違っていますので~・・」
年の頃、おおむね40代後半から50代。
女性。
「・・・~こちらから技術スタッフがお伺いして、実際に屋根の形状を確認しまして~・・・」
後ろから、ピッピッと機械音がしている。
こんな時間まで会社でお仕事とは大変なことだ。
でも、だからって、言われるがままでいる必要もない。
「・・・~いかがでございましょうか?」
「今、そちらは会社にいらっしゃるんですか?」
「え??あ、はい、そうですが・・・」
かなり戸惑った様子。
「こんな時間まで働いて、大変ですね」
「ええああ、ありがとうございます・・・。それでですね、~・・・」
あくまで話の本筋を曲げようとしないその姿勢には、そうしなければならない何か深い事情があるのかなって。
「・・~というご案内をしています」
「これって、電話帳かなんかで無作為に選んでかけてるんですか?」
「ええ、そうでございます」
「それは、全部話してしまわないといけないなにかがあるんですか?」
「は?それはどういう意味でしょうか」
「つまり・・・一通り全部話さないと、電話をかけたという実績にならないんですか?」
「いいえ、そんなことはございませんが・・・。ですので、一度こちらから技術スタッフをお伺いさせていただきたいのですが」
「お宅さんは、お子さんいらっしゃいます?」
「え?ええ、おりますけれども・・・」
「もう、大きいんですか?」
「はい・・・」
「そうですか。じゃぁ、それでか・・・」
「あの、なにか・・?」
「いえね、うちには小さいのが二人いるんですけど、通常これくらいの時間は寝かし付けをしてるんですよ」
「ああ!それは大変失礼をいたしました。では、改めましてまたご連絡をさせていただきた・・・」
「それにね、うちはかみさんがこないだ亡くなってしまって、今、家をどうこうする気はないんです」
「それは・・大変申し訳ございませんでした・・・」
「いえいえ、では、失礼します」
この頃、学校へもまたマンション買わないかっていう勧誘が増えてきた。
以前は新宿の駅前だったのが、最近のは大阪城がどうとか・・・。
新宿から大阪へ。
あんな電話して、ほんとに買うやつなんておるのかな。
今夜の勧誘にしても、こんな時間にあんな電話のかけてき方して、それでその話に乗るやつが、いるとは思えないんだけど。
にしても、ほんとにお仕事ご苦労様です。
僕も、仕事の最中です。
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