幸せの肥やし

けっとくん、本日は自宅にて初めての、おまるでうんちでした。
保育園では出したことあると本人は言ってましたが、
あ、ちなみにその言い方は、

「おいくえんで、だちたー。だちたよー、おまうぅー」

でした。



からん



ことん




便秘くんなので、カチカチウンチでちた。



使ったオマルは、ゆめもたったも使ったオマル。
物持ち良いなぁ。
その後ゆめは介護用の豪華なオマルに仕様変更しまして、このオマルは長く(5年間ほど)しまい込まれてましたが、たったで復活。今にいたって(4年間ほど)ようやく、けっとも使い始めたと。
このオマルは、




『(たったの前の子。出生前診断にて病気とわかり、あきらめた を)妊娠中で料理が不都合だったママが、めずらしく張り切って料理をしようと思い立った。
何を作るのか知らないが、ママが買い物に出かけてまもなくの午後5時32分、ゆめは久々にオマルに座った。
たっぷり15分かけてすべて出し切ったゆめは、
「ふ~~」なんていいながら、とても満足げだ。

それではと小さな体を抱えてのぞいてみると結構手強そう。ちょうど手近にあったおしり拭きを大量に用意し、きっちり拭き上げ、おむつでパッキングを完了した。



今まさに、惨劇の幕は静かに上がった…




オマルの中身を捨てようとトイレに向かって、はたと気づいた。
<チョット待てよ、これって流せるナップだったか?>
あわてて確認すると、残念ながら水に溶けないタイプのおしり拭きだ。
<ということは、このまま便器には捨てられないぞ。溶けずに詰まっちゃうよなぁ。
かといって、ぶつはちょっと”びち”はいってるからナップもすっかりぐしょぐしょだ。新聞紙にくるんで捨てるってわけにもいかないし…っていうか、うちは新聞とってないし…困ったな……>

片手にオマルのバケツを持ったまま、2分間ほど廊下に突っ立って思案に暮れた。
オマルの中身は匂い立っている。
外は夕日がまぶしい。明日もきっと良い天気だろう。
窓から斜めに差し込む太陽の最後の輝きが、暗い廊下に立つ俺を赤く照らし出す。
傍らの姿見鏡には、片手にオマルバケツを抱えた、情けない30男の姿が映っている。
その鏡に映った自分の背後、洗面台を見たとき…洗面台…シャワー…

☆ひらめいた♪
俺はすぐさま行動を開始した。

主戦場は台所だ。
<流しなら、排水溝には生ゴミ溜めがはまってるじゃん。あそこに一気に流し込めばいいんだ。うまくすればナップ以外全部溶けて流れてくれるかも。うっしっし>

決戦場は、台所にあり。
リミットは、ママが帰ってくるまでの間だ。残り時間は少ない。俺は素早く現状を確認した。
手持ちの駒の中で、いま展開できる部隊は、オマル特戦隊、換気扇隊、付近の住民誘導隊、最終兵器・アルカリイオン湯砲だ。

「ジッ 各部隊、配置完了したか 送れ。」
「こちらイオン砲、お湯の温度良好です。すぐにでも最高温度にまで持っていけます。いつでも放射可能。」
「換気扇隊、回転始めました。」
「付近の住民、避難完了!」
「よし、カウントダウン開始する。5・4・3・2・1・今!
                       オマル隊、全機突入ーー!!」

一斉に雪崩を打って生ゴミだめに突入したオマルの中身は、しかし予想に反して、生ゴミ溜めに溜まったままだ。意外にも初期の部分は堅さがあるようで、そのままでは流れそうにない。
「よし!第2ステージだ!イオン砲、最高温度で放射!」
「放射開始しました!湯量充分!…  
 !だ、だめです、蛇口の長さが足りなくて排水溝まで届きません。このままでは直撃できませんんん!」

「アラート!アラート!細菌兵器、はじける水流で飛び散ってます!排水溝から飛び出してます!汚染拡大中!」
「食器乾燥機、外壁に被弾!このままでは住民にも被害が!防護カバーおろせ!急げぇー!!」
「わ!しずくが手に!手が!」
「状況・ガス!!お湯の温度が高すぎます!有毒ガス発生!!匂い立ってます!!付近に漏出中!!た、隊長ーーーー」
「ひるむな!換気扇隊、最大戦速!!全力で、回せぇーーーー」

10分後、敵の制圧に成功した我が部隊は、予想外に多い捕虜のすべてをしっかり水切りした後、三重のビニールでコーティングし、ゴミ箱へ移送を完了した。
若干の被弾痕が残っていた食器乾燥機の外壁は、むしろ美しく磨き上げられ、生ごみためも隅々まで洗って排水溝へはめ直し、”来たときよりも美しく”じゃないが、流しの周りはすっかり輝いている。

何もかもうまくいった。戦闘の痕跡はどこにもない…


ほどなくママが帰ってきた。
「ただいまー。なんかいつもより臭うねー。ゆめうんこした?」
「あ、う うん。したよ。大量に。」
「そ。よかったねーゆめ。」


ママは、るんるんで久しぶりの料理を始めた。


・・・言えない。

まさにそこで、さっきまで激しい戦闘が行われていたなんて、口が裂けてもママには言えない…



今日の料理はじゃーじゃー麺だ、みそが強いぞ。よりにもよってこんな日に。

うっぷ。』



というような記事を書いた、10年前からあるんだね。
ほんと、物持ち良いわ。







なんかな、僕の人生は、半分がウンチにまみれてる。

ゆめのでしょう。
たったのでしょう。
けっとのでしょう。
そして、ママの。

ママなんか、すごかったモンな・・・
初回からお風呂の中で ぴー^^^(自主規制 すごすぎです)^^^だったし。
その後も、ゆめとママはすごいのがずっと続いてて、ゆめもママも、自らのブツによって何度トイレの排水を詰まらせたかしらん。
その度に、僕は手を突っ込んで、ブツを握りつぶし、かき回し、何とか流れるようにして、汚水があふれるのを阻止した。
今年は、学校のトイレでも掃除の時間に、悲鳴を上げるだけでまるで役に立たん生徒尻目に、見知らぬ赤の他人のを相手にそれやったし。



それも、もう、ゆめの入所とママの意識不明入院によって開放されてしまった。
今となっては、愛する人たちに汚物処理ですら、懐かしい。
汚物にまみれていた頃ですら、明日がわからない不安がつきまとってはいたけれど、それでも家族みんなが一緒に暮らせてて、今よりも幸せだった。

そして、僕はこの先一生涯、きっと忘れないだろう。いや、何度でも、思い出すだろう。
そう、トイレに入るたびに、汚物と格闘した日々と、そんな日々が幸せだったことを。


美しき幸せは、記憶が肥やしとなりにけり。




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