人の好意に甘える生活。
と言えるのかもしれないが、そうしておいて文句をいっては罰が当たるか。
それでも、簡単に納得するには気持ちがざわつくことも少なからずある。
人様に薪になる木をいただく生活は、もう7年目に入った。これがなかなかに大変な仕事だ。まだバリバリ新車の軽トラックは、今月に入って開始したわずか数回の週末の薪運びだけで、既に走行距離300kmに達しようとしている。薪集めというのは、それだけ、週末のたびにそこら中を走り回らねばならないということなのだが。
この間、様々な方に感謝を述べてきたが、中には、辞退を選ばざるを得ない事もあったし、失敗から学んだこともあったし、時には家庭内争乱のきっかけになり損ねたこともあった。
しかもそれら、円満にご厚意を受けられない出来事は、すべてこの家から半径500m以内に限られるのだから、なんとも・・・
遠方では、何らのトラブルもないのに、なぜかご近所さんではやばいことばっか。
もう二度と、半径500m以内からだけは薪をいただかないぞと、今日こそは決意したよ。
そう、今日もやばかったですよ。
前から目を付けていた、桜の木の切り倒したのがあった。
通勤途中の家で、うちから至近。
今日の午前中に、もらってきた。
桜の大木だ。これはかなりのお宝。何しろ広葉樹など簡単に手に入らない地域柄、熱量と燃焼速度の点からいってそれがそこそこな桜の木は、出来れば手に入れておきたい部類だ。
伺ったお宅からは、おばあちゃんが出てきた。問題なくいただけたのだが、すべてトラックに積み終えたあとで、
「息子に無断であげるけぇ、どうしたもんかねぇ」
『息子に無断』この一言に、頭の中で非常警報が鳴り響いた。
「息子さんがお戻りになった頃、夕方くらいにまた伺いますよ」
と約束して帰ってきたが、これは今一度伺った後までは手を出さない方が絶対良いと強く思った。
結局、坊ノ岬沖で三つに分かれて静かに眠っているといわれる戦艦大和よろしく、庭先に三つに分かれておかれていたかなり太い幹の内の一本を、返却しなければならなかった。
いや~、助かった!
直感は、信じた方がいいな。
実をいえば、うちは二軒がかなり近接してたっているので、お隣さんへの迷惑を考えると、午前10時まではチェーンソーの使用を控えた方がいい。だからほんとは今日の内に、全部切っておきたかったのだ。我慢して、正解でした。切っちゃってたら、一体どうなったことか・・・
しかも今日のお宅は、隣の班なのでお互いに面識はなくとも、同じ町内のかなりのご近所さんだし。
今夜は、今まで以上に深く深く、ご先祖様と守護霊様に感謝して眠ることにしよう。
あと、4時間くらいしたらね。