フェチ

今夜から、子供らはまたじいじ宅へお泊まり。
午後の遅い時間から、大人の時間。





夏は、日焼けの季節。
紙漉の原料煮込みでじりじり焼かれた僕の両腕も、既に皮がむけ始めている。
なんかかゆくてポリポリやってると、薄皮がはがれてくる。
死んだ肌は汗を通さない。
新しい皮と古い皮の間にたまった汗が、こそばゆい。



彼女は、肌の色が黒い訳じゃないと思うけど、まだ夏に知り合ったばかりだから、よくわからない。
でも、健康的なやけ方をしている。
6つ年下だから、まだ十分に若い。
友達とプールに海にと、夏は忙しいんだろう。
日焼けなんて気にもしてない。


実は僕、日焼けした薄皮をむくフェチなんだよね。
だから、彼女の日に焼けた肌には大いにそそられた。


「もう、むけるのかな?」

「むけると思うよ。むく?」

「ええ!?、いいの?」

「いいよ」

むいても、肌的には大丈夫なの?
なんか、まだらになったらその後悪影響が・・・

「大丈夫みたいよ。いつもむけるもん」






すっと背中を向ける彼女。
てっきり、二の腕あたりをむかせてくれるのかと思ったんだ。




彼女は、着ていたシャツのボタンを外して、肩からそっと襟を落とした。






えっ



え!



ええっ!?







前が落ちないようにそっとシャツを押さえ、胸を隠して背中を向ける彼女。
まばゆいばかりに白いブラと、張りのある小麦色の肌が、無言で僕を誘う。

早鐘を打つ心臓を押さえ、そっと指先を伸ばした。








ぽり・・・・・


ぽり・・







「ブラ、じゃま?」




「え、あ、えっと、   はい・・・」

「外して良いよ。外し方、わかる?  よね」

「えとえと、























得意です」



















ばかーーーーーーーーー


















よりにもよって、なんちゅー答え!?
でも、片手で外せるぜ。





彼女の背中が無言で誘うから、外しました。

また、そっと指先を伸ばした。

さっきよりもむきやすいけど・・・
















それどころじゃねーーーーー








「あの、あの、もういいです。ありがとう・・・」






すっとこちらを向いた、もの言いたげな彼女のまなざし。

俺・・・





なんで、この後押し倒さなかったんだろう。
へたれだ、俺・・・
素直に、門限に間に合うように駅まで送ったよ・・・




でも、押し倒さなかったから余計に、彼女の信頼は勝ち得たようだ。
その後で、もっと良いことあった。
でも、それは内緒。






















皮をむく度思い出す、懐かしき若かりし日の夏。





「でも、あたしは肌焼かないんだからっ」

ママは、絶対に焼かなかった。

「シミになっちゃうんだから、焼いたとしても絶対にむかせてやんないっ」

ママは、絶対にむかせてくれなかった。


「二十歳の子と、同じに思わないでっ」

はい、すんません・・・


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