たった

たったが言う。

「明日はゆめちゃんに会いに行くよ。だっとくんとあそぶんよ」

ここまでは良かったが・・・

またなんか言い出した。

「パパー、だっとくんはぼくをないがしろにしてるー」

「は?なんだって?」

「だっとくんがね、ぼくをないがしろにしてるの」

「・・・なんだそりゃ?」


だっとくんというのは、ゆめの施設にいる男の子で、気管切開はしてるものの元気そのもので、いつも大暴れしてる子だ。


「たとえばー、僕と遊ぶ約束してても、パパとジャスコへ行っちゃうジャン」




「・・・あのな、誰が誰とどこへ行ったかをわかるように説明してくれ」

「だっとくんがぼくと遊ぶ約束してても、だっとくんのパパが来たらだっとくんはパパと一緒にジャスコへ行っちゃうジャン」

「うん」

「だからー、だっとくんはぼくをないがしろにしてるの」


「そらお前、当たり前だろう。週に一回しか会えないという条件が同じのお前とパパさん。だっと君にとってはどっちが大事よ?」

「パパ」

「だーろぉー?」




「まぁでも、だっと君と遊んであげるってのは、良いことだな」

「そうなの?」

「・・・天国貯金かも」

「なにそれ?」

「自分がやりたいことを我慢して誰かのために何かすること。神様は、全部見てなさる。良いことも悪いことも、誰が何をしたか、全部な」

「で?」

「死んで、閻魔大王様の前に出たとき、天国貯金がたくさんあると、天国へ行ける」

「じゃぁさー、良いことと悪いことが同じ数だったら?」

「その内容次第だな。たとえば、だっと君と遊んであげることはとっても良いこと。でも、誰かをいじめたら、それはものすごく悪いこと。だっと君と遊んであげることが全部無くなっちゃうほどに。そしたら、地獄へ行く」

「・・・」


「?」


「こないださー、じじと車いすの人を押したよ、ぼく」

「うん」

「あれは良いことだよね?ゆっくり押したし」

「良いことだよ」

「○○くんの代わりになんかしてあげることは?」

「知ってる人より知らない人のために何かする方が大きいな」

「そうなの?」

「うん。あ、でもな、なんかするのが必ず良いとは限らないぞ」

「なんで?」

「ほんとに助けて欲しいかどうか、わかんないジャン」

「車いすの人、ありがとうって言ったよ」

「それは良かったんだけどさ・・・たとえば坂道で車いすをひっしこいてこいでる人がいるとするじゃん」

「うん」

「それ、苦労してるんじゃなくて筋トレかも知れんんぞ」

「はっ∑(゚□゚;)」

「だからな、大事なのは、まず聞くことよ」

「わかった!」


「じゃぁ、向かいの○○さんちにどろぼうがはいったとしてぇ、ぼくがたすけにいってかわりにころされたら?」

「自分の身を守りながら助けなきゃダメ。だいたいさー、なんで泥棒ってわかったの?」

「てっぽーもってた」

「だったら後なんかつけないで、110番しろよ」

「助けなきゃいけないかどうかわかんなかったら?」

「なんで泥棒だってわかったんだっけ?」

「てっぽーもってた」

「だったら間違いなくやばいやつジャン。警察呼べ」

「はっ∑(゚□゚;)そっか!」











たった、がんば!


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