ゆめさんに会いに行ったら、筋ジスの大先輩がいた。
彼女は、ゆめより10才くらい年上。
妹と弟がいる。
彼女と弟は、筋ジス。
電動車いすを乗り回して元気いっぱい。
マットへおろしてもらう際には、
「反対の方が良い」
「クッション入れて」
と、自分の意思をはっきりと伝えられる。
そしてほっとかれると、
「おーい、かまってくれー!!」
と叫ぶほどの認知の高さ。
今日は、ショートステイだったのかな。お父さんは?と聞くと、
「仕事」
お母さんは?と聞いたら、
「お休み」
と答えた。
お母さん、今日は介護もお休みなんだね。
昔からはっきり物言う彼女は、今日も大全開バリバリ。
どたどたばたばたと走り回るたった、けっとと入所中の男の子に向かって、
「おーい、うっせー!」
「ばたばたさわぐんじゃねー!」
と、叫んでいた。
それを見ていたゆめさん、大受け。
僕も、大笑い。
いつもならストレッチャーに乗ってあちこち走り回らされるんだけど、今日は彼女がマットに横たわっていたので、ゆめもずっと同じようにマットに寝そべっていた。
ゆめは子供が大好きだ。
たいがいにおいて、たったやけっとたち、他の子供たちの様子を見て、よく笑ってる。
ゆめが笑うと、僕は嬉しい。
ゆめは昔から、会話ができなかった。
彼女の発する単語をこちらがつなぎ合わせて、言わんとするところを推し量ることでコミュニケーションを取ってきた。
でも、しゃべらないからと言って、何も考えてなかったり認知が低い訳じゃなくて、むしろ認知はかなり高い。
ママのことも、自分が入所しなくてはならなくなった理由も、ゆめは理解してる。
だから、あまり我が侭を言わない。
それが、悲しい。
もっとも、言われたら言われたで、困ってしまうのだけど。
この頃は、気管切開のせいであまりに自分の要求が伝わらないからだろう、平日でも僕を呼んでは泣いていると聞いた。
パパと散歩に行きたいといって、よく泣いているという。
平日なんか、行けるわけないのに・・・
できるだけ、ゆめに笑顔をと、思う。