たったが、
「がっこうのせんせいって、どうやったらなれるの?」
と、本気かどうかわからない聞き方で聞いてきた。
「なんだ、先生になりたいのか?」
「そうじゃないけど」
たったが、僕が学校の先生であることを理解していて、その上で同じ職に就きたい そう思ったと考えるのは、たぶん当たってないだろう。
だってたったは、僕の仕事ぶりなんかまったく知らないんだし。
去年までは、何になりたいかって聞いたら
「パパになりたい」
なんてかわいいこと言ってたのに、それが仮面ライダーになったりシンケンジャーになったり、今度は学校の先生だ。
いやまだ、先生になりたいとは言ってなかったけど。
俺は、たったが自慢できる人間でいたいなぁ
先生としてじゃなくて、父親としてでもなくて。
まぁ、父親としてって部分は、将来参考になるなら嬉しいが、今の僕ではまだまだダメだな。
それ以上に、社会人としての僕、父親としての僕に男としての僕を含めた、人としての僕、それをあこがれてくれたら嬉しい。
そうであるためにはそれ以前に、僕自身がもっと努力しないとダメだけど。
去年までの2年間、たったがことあるごとにくれた絵を描いた紙には、
『パパ大好き』
と書いてあった。
それはもう、何の脈絡もなく必ずそれが書き加えられていた。
この頃は、そういうのは来なくなった。
あの頃はきっと、そう伝えてないとママに続いて僕までいなくなりそうで怖かったんだろう。
そう伝えることで、僕をつなぎ止めておきたかったんだろう。
不憫なり・・・
今は何となく、ママが回復してきているのをたったも感じてるんだろう。
僕もいなくなったりしないのを、理解できてるんだろう。
これからは、ちゃんと愛されてるってことをもっと感じさせてやらにゃぁいかんなぁ。
もちろん、けっともなぁ。