ペンギン

ゆめパパ

2012年09月03日 22:36

うちにはペンギンの形をした革製の貯金箱があって、僕がそれを
「ほんとにペンギンの皮で作ってあるんだぜ」
と言ったもんだから、たったはすっかりそれを信じてる。
ちなみに、キクラゲもペンギンの肉だって言ったことがあって、たったはそれも、いまだに信じてる。



今日たったが、

「パパー、あのペンギン貯金箱は、どうしたの?」

と聞いてきた。

「この家に越してきた年の誕生日に、パパがママからもらった誕生日のプレゼントだよ」

と答えると、

「じゃぁ、大切なものだね」

と。

「そうだよ。あの中には、ママが入れてくれたお金も入ってるんだ」

と言うと、

「え!?じゃぁ、使えないじゃん!」

と言う。

「どうして?」

「だって・・・、ママが入れてくれたの、大切でしょう?」


たった、いつの間にか、良い感性を身につけてるな。
でも、本当に大切なのは、ママが入れてくれたお金それ自体じゃないよ。
確かに、ママが触ったお金も入ってるけど、もうそれがどれかなんてわかりっこない。
それよりも、たったがそう感じる心の方が、僕にとっては大切だ。

でも、いずれそれは、道を閉ざすかもしれんなぁと、漠然と思ったりもした。


「たった、あの中に入ってるお金をそのままにしてたら、お金は死んじゃうんだよ」

「なんで?」

「お金は、使うためにあるのであって、貯めるためにあるわけじゃないんだ。ママだって、貯まった後で何かに使うつもり、パパに、使って欲しくて入れてくれたんだよ。お前だって、欲しいものがあるからお金貯めるんでしょう?」

「うん」

「それ、使わなかったら、意味ないじゃん」

「もっと貯めて、もっと良いもの買う」

「それも、いいかもな。でもね、もう一杯になってるし、パパはそろそろ使おうと思ってるのよ」

「なにに?」

「お前らと、あのお金使ってご飯を食べようと思う」

「どうして?」

「ママは、お前達のことがとっても大切だった。だから、ママが残してくれたお金で、お前達においしいものを食べさせる。ママのお金使ってお前達が喜ぶ。その方が、ママは喜ぶ。そう思わない?」

「そうなの?」

「そうだよ~」

「じゃぁ、ぼく、さわやかのハンバーグが良い!ママと、一緒に食べに行ったよね!」

「けっとくんも~」←けっと

「お前は、一緒に行ってないだろ!」←たった

「いったよー!!」←けっと


「行ったな、2回ほど。うん」

「行ったっけ?ねぇパパ、けっと君も、一緒に行った???」

「行ったよ。2回ね。もっとも、けっとはハンバーグじゃなしに、全然違うもの食べてたけどな」

「そうだっけ?」

「そう。今度行こうか。けっと君の誕生祝いに。もうすぐ誕生日だし」

「じゃぁ明日は!?」

「え”!?普通の日は、ちょっっと・・・・」



ママのお金で良いもの(良いか?ハンバーグだよ・・)食べて、それを自分の血肉にしろ、ガキども。
そうして、ママと共に成長し、思い出に縛られることなく、ママと共に生きろよ。



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