おはよーのキズ
布団の中でうっすら意識を取り戻したとき、そいつは横向きの僕の肩の上に乗っていた。
柔らかいお腹を半袖から出た腕に乗せ、微かに先端を出した爪で胸と背中を軽くついていた。
その爪が少し出た指先で、耳を軽くひっかく。
次いで、ほほ。
最期にまぶた。
たまらず、寝返り打って上向きになる。
今度は胸の上に乗った奴は、同じように少し爪を出した指先で、再び狙うはまぶた。
総司令部を打てば、敵は落ちる。
いや、起きる。
でも、その総司令部が一番脆弱性が高いことも、奴はよーく知ってる奴は、
だから、ほんとにかすかに。
「みみゃ~う」
「わかったよ・・起きるって・・・」
もう7時過ぎてた。
まだ、寝付いてから3時間くらいしかたってないのに・・・
腕を見たら、あちこち穴が開いてた。
ぬ子の奴、相当攻撃したあと、最期の仕上げでまぶたを狙ったらしい。
上体を起こしたら、足下でこちらを向いて、
「むみゃ」(早く来てよ)
立ち上がったら少し進んで振り向き、
「みゃう」(また寝たりしたらダメだよ)
階段降りる手前でももう一度振り向き、
「みゃ~う」(ちゃんと来てる?)
降りてる最中も、数段降りてはこちらを向いて
「にゃ~」(ついてきてよ)
階段降りきって僕を待ってるけど、無視して90度ターン。トイレに向かったら、
「むにゃっ」(ちょっ、待てって!)
慌てて追っかけてきた。
毎朝、だいたいこんな感じ。
45歳過ぎたこの年で2~3時間睡眠二日連続、しかも二日目は休日ともなれば、そりゃゆっくり寝たいわい。
たまには、朝寝坊してみたい・・・
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