豹変

最初、もしかして、思わずびびりまくっちゃうくらい容姿や態度がおっかない泥棒が侵入したのかと思ったんだよね。
そのせいで、こうなのかなって・・・



朝はいつも通りだったんだけど、帰宅時、いつもなら腹を空かせて出迎えるえんじの、影も形もなかった。
脱走は、あり得ない。
１Fのすべての出入り口は施錠し、２Fは網戸になってるから。
またゴキブリでも食べて腹一杯にでもなってるのかなって思った。

お風呂に入る頃になっても、まだ姿を現さない。

だんだん心配になってきて、探してみた。

あいつの良そうなところは見当がついてる。

一カ所目、いない・・・

二カ所目、いない・・・

三カ所目、いない・・・


「えんじ～」

呼んでみると、かすかの返事が聞こえた。


ん？










えんじくん、２Fのロフトにいました。
おまけに、下から見上げる僕を、いきなり威嚇しました。
はしごかけて手を伸ばしても、まだ威嚇します。

「お前なぁ・・・救出に来てやったのに、それはないんじゃねーの？」


ってか、ロフトなんかしょっちゅう上り下りしてるのに、なんで今日に限って降りられないわけ？
ロフト、ド暑かった・・・
いったい、いつからここにいたんだろう？


どうにか捕まえておろしてみるが、腰が抜けてるみたいな感じですぐにごろんしちゃう。

暑くてばてたか？



でも、なんかヘン。
きょろきょろしてる。

だから、冒頭に戻る。

一応家中点検したけど、異常はない。



そのうち、子供らを連れてじいじが来たので、しばらくはママの法事の件で話をしてた。
たったがえんじをかまおうとしたので、

「よせ。今日おかしいから」
というと、
「なんだ？病気か？」
とじいじ。
「そうじゃないけど、なんかおびえてるんだよね」

そのあと、初盆の衆は８月７日はお墓で迎え火をたくんだって、今日炊いてきたんだってきいて、なんか合点がいった。





えんじくん、泥棒じゃなくて、あれにおびえてんじゃ？

「おお、そういやぁさっきからきょろきょろしてて、ヘンなとこじっと見てたりしてたなぁ」
と、じいじも。



初盆で、ママだけじゃなくてへんなのも来ちゃった？



結局今夜は、ご飯も食べずに再び姿をくらませてるえんじ君です。