『49日前、いや、正確には、43日前に、ママの人間としての活動が終わった。
この頃ママの気配を感じないが、法要の事実に関係なく、あの世へ旅立つのが49日目だというのなら、ママはまだ、少なくとも6日間は地上に留まることになる。
実際、ばあばが亡くなったときにも、四十九日の法要ののちも、まだ上がっていないと気功の先生には言われた。
あれは、たまたま49日が過ぎる前に気功を施してもらったから、その時にばあばのことを尋ねたからだったのかも知れない。
今日の午後、子供らと食事をしてから帰ってきたとき、車を止めている最中に玄関の灯りがついた瞬間を見た。
午後五時頃で、周囲が明るいと反応しないセンサー付きの明かりがつくには少々早いが、次第に薄暗くなりかかった時間、ついておかしくもない。一瞬、えんじが脱走でもしたかと思ったが、周囲に人影の一つもなくまた、えんじに限らず野良猫のたぐいもいない。
センサーが反応する何ものも無い中、なぜ灯りがついたのか・・・
挨拶回りから、久しぶりにママが帰ってきたのかな。相変わらずその気配は感じないが。
我ながらおかしなことを、いや、さんざんそれを書いてきて今更ではあるけれど、本当に見えない世界というものは存在するのだろうか・・・
誰かの言いぐさではないけれど、信じていない者の前にそれは現れず、信じたい者の前にも、同じく現れぬものらしい。
今まで生き霊に襲われ、人でないものにまで脅かされ、何ものかわからぬ者の声を聞くばかりか意識のないママの声まで聞いてもきた。ゆめなど、明らかに我が目には映らぬものを日頃から見ている。
だから、その様なありようを疑うこともなく来たのに、一番見たいと願うママに会うことは、いまだ叶わぬ。』
昨日の夜、『 』の中の記事を書いていた。〆の文章を入れたらアップしようとしていたのに、ここでいきなり右足のふくらはぎがつった。
ぐげっ!
すぐに小屋裏から抜け出して足を伸ばそうとしたが、今度は腹筋がつった。運動の後とかならともかく、足がつるのも、ましてや腹筋がつるなんて、こんなの初めて。
廊下へ出て体を伸ばしていると、その直後に左右の別なく体中つりまくった。
その激しさ、体がバラバラに引っ張られてるかのような・・・
やっとそれが収まりかけたとき、今度はいきなり気が遠くなった。
耳鳴りが始まり、強烈な貧血の時のようなめまいと、頭の芯が冷えるような感覚。
なぜか腹痛も始まり、さらに激しい動悸。
胸をかきむしりたくなるような、苦しみ。
もはや、とてもじゃないが立っていられなくなった。
足がつってから倒れそうになるのをこらえなければならなくなるまで、わずか数分間。まだ歯も磨いてなかったけど、もう布団に入ってしまわないと、いつ気を失うか知れないほどひどい状態に、あっという間になってしまった。
這うようにして小屋裏へ戻り、電気ストーブを消し、パソコンを止め、何とか布団に入った。
ところが今度は、暖かい布団に入った途端に激しい悪寒。
歯の根も合わないほどガタガタ震えた。
異変に気がついたか、えんじがやってきて、黙って布団の中に入ってきたが、もはやネコのぬくもり程度でどうにかなるようなモンじゃなかった。
どれくらいガタガタ震えていただろう。
いつの間にか眠ってしまったが、ほんとに寒かった。
この寒気、覚えてる。
ママが亡くなる直前に感じた寒気だ。
さ、今日は四十九日だな・・・