おばけ
たったの口腔外科受診だったが、その前にST。
たった、サ行がかなり悪くなってた。
もはや、言葉の教室が月一ではとてもおいつかない感じらしい。
STの先生からは、できれば、毎週通って欲しいと言われた。
言葉の教室へは、就学児童は放課後の時間帯で通っている子供がほとんど。
たったの場合は、場所が遠方なのもあるし、晩ご飯とかけっとのこともあって、ちょうど5時間目の時間帯にぶつかってしまう。
毎週決まった曜日の5時間目に休むわけにはいかない。
従って、頑張ってもせいぜい隔週かな。
今の2倍にしかならない。
ママ-、あんた生前、口唇口蓋裂は筋ジスと違って手術で治るから楽勝って言ってたけど、そりゃ、見た目はそうだろうけど、それ以外の部分の方が負担が大きい。
全然楽勝じゃないよ。
ところで、たったが行く口腔外科のある総合病院のロビーには、機械式のピアノがある。
たったがずっと幼い頃、僕が自動演奏してるピアノのことを、お化けが弾いてるって教えた。
たったはそれをずっと覚えてて、だいたい毎回受診時にその自動演奏時間にかかるもんだから、
「またお化けが演奏してるね。ママより上手だね」
と、今日も言ってた。
おまけに今日は、途中でなんだかつまずくような動きのある曲目だったようで、たったがそれを言った瞬間に、ちょっとつまずいた。
たった、それを見て固まった。
僕が、
「お化けがお前の声に反応したんじゃない?こっちを見たんだよ、きっと。それで、ピアノの演奏が一瞬止まったね」
と言ったもんだから、たったますますびくびく。
悪い親だな、俺。
帰りがけ、まだ自動演奏時間中のピアノの前をおそるおそる通るたった。
ぼそっと一言
「透明なのに、どうしてピアノが弾けるんだろう・・・」
するどいな、たった!
お化けなんだから、指も鍵盤を通り抜けるはずだって気がついたらしい。
「お化けがお皿なんかを投げたりするじゃない?あれと同じだよ、きっと」
で、納得。
こんな楽しいのは、いつまでかしら?
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